DX戦略推進センターがカスタマーサクセスの指標としているのは、NPS(ネット・プロモーター・スコア、企業やブランドに対するロイヤルティーの指標)だ。NPSとLTV(顧客生涯価値)には相関関係があり、NPSが高い顧客ほどLTVも高くなっているという。そうしたデータを把握できるという点で、顧客とのコミュニケーションをデジタル化するメリットは大きい。
顧客情報はブランドごとに用意したLINEミニアプリで管理しており、数十あるブランドで登録者数は数十万規模に上る。「どんな人が、どういうタイミングで、どの商品を買ったかをデータ化し、NPSの高い顧客のデータを各ブランド事業部にフィードバックしている」と鈴木氏。それぞれの登録者についてパーソナライズまではいかないものの、ある程度のセグメントに分けてマーケティングを展開しているという。
現状はまだ化粧品が中心だが、今後はライフケア・ヘアケア・スキンケア製品などでもデジタル化を推進していく予定。課題は購買行動を含めた顧客データの収集、ブランドとの絆づくりだ。鈴木氏によれば「D2Cの割合はまだ数%だが、中期的には3〜5割になってくると見ている。まずはその割合を15〜20%にするのが目標」とのことだ。
カスタマーサクセスは、SaaSを展開するBtoBtoC企業やサブスクサービスを運営するBtoC企業だけが取り組めばいいという話ではないことが花王の取り組みから分かるだろう。普段何気なく手に取っている日用品は他ブランドへの乗り換えハードルが低い。「消費者の声を聞き、商品に生かす」「価格以上の価値」の追求が求められる。
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