さらに、新オフィスを作るだけでなく、別会社としてニトリデジタルベースを立ち上げた理由は、フレックスな勤務体系や服務規定にあるという。
似鳥会長は「わが社はある程度服装を定めており、カジュアルではあるのですが、ジーパンやTシャツはダメと決めております。しかし、やはり情報システム人材だとジーパンもTシャツもスポーツシューズも何でも気軽にやりたいと考える人が普通になってきました」と説明。
デジタル人材に適した制度と環境を用意するためには、別会社として立ち上げ、働き方の制度や勤務体系、給与システムまで独自で作り上げることが好ましいと判断した。
ニトリHDがITシステムの内製にこだわっている理由について、ニトリデジタルベースの佐藤昌久代表取締役社長(ニトリHD上席執行役員CIOも兼任、以下佐藤社長)は「外部にニトリがやりたいことを実現できるソリューションがなかったから、というのが一番の理由です」と説明する。
ニトリHDのデジタル部門では、店舗でのデジタル技術だけにとどまらず、製造・物流・貿易・コールセンターや、ホームセンター事業などの幅広い領域をカバーする。
佐藤社長は「(ニトリHDが)世の中にあまりないビジネスモデルなため、どんなシステムを作ったらいいかという設計の段階で、なかなか外部の方に理解してもらえないことがあります。何回か、外の方にお願いしようと活動したことがありますが、結局は諦めて内製でしっかり実現できないかとなり、今は内製化の方針を取っています」と説明する。また、内製での開発はスピードや、コストの面でも優れているとアピールする。
さらに、このように幅広い領域のシステムに関われることが、採用においても魅力になるのではないかと佐藤社長は話す。
「一つの会社に居ながらして、こんなに広い領域でITに関われる環境はなかなかありません。そして現場とITの距離も非常に近い。実際に、これまで応募していただいている方が一番魅力に感じていただいているのはそういった点だと、フィードバックも受けています」
また、佐藤社長は「ニトリがこんなにITに力を入れている会社だという認知度は、まだ低いと思います」と課題感も話す。新会社設立で認知度を高めつつ、「IT人材市場に対し競争力がある状態でオファーできるように」待遇や評価制度も整えると説明した。
似鳥会長は32年までに売上高3兆円という高い目標を掲げたことに触れ、「豆腐のように1丁2丁3丁(兆)と簡単にはいきませんけど、誰しもが不可能と思うようなことに挑むのが、チャレンジです。ネバーギブアップで最後までやり遂げる。そのために、情報(分野)の準備をします」と話し、デジタル分野への投資が成長戦略において欠かせないものであることをアピールした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング