「フリーランス」の響きはいいけれど……驚くべき“脱法契約”の実態:働き方の「今」を知る(2/6 ページ)
フリーランスは特定の企業から雇われるのではなく、独立した事業主として、個別企業と「業務委託契約」を結んで仕事をすることが一般的だ。業務委託契約では、「特定の業務を遂行する」か、「成果物を納品する」ことへの対価として報酬を得る。
働き手にとってのメリットとしては、次の事項が挙げられる。
- 自分で仕事を選べ、自身の都合に合わせたスケジュールを組めるなど、会社組織の枠組にとらわれない、自由と裁量が多い働き方が実現できる
- 労働時間の制限がないため、働けば働くほど収入も増え、働きが報われる
- スキルアップにかける費用などを経費計上でき、節税メリットと手取り収入の増加につながる
また依頼する企業側にとっても、以下のようなメリットがある。
- 高い専門性を持った人にピンポイントで業務を任せられ、自社人材で賄おうとした場合にかかる採用費用や人件費、教育コスト、社会保険料などを抑制できる
- これまで専門業務に従事していた自社社員の手が空き、本業に特化できることで、社内人材リソースを有効活用できる
- 労働関連の法律の適用を受けないので、採算やスケジュールを優先して仕事を依頼でき、発注側からの契約解除が(正社員の解雇に比べれば)やりやすい
従って、この契約形態をうまく活用すれば、依頼主の会社もフリーランスにとっても、双方にとってメリットのある働き方となり得る。
しかし、メリットとデメリットは表裏一体。企業側にとってのメリットである「労働関連の法律の適用を受けない」とは、フリーランスにとっては「法律に守ってもらえない」ということでもある。
フリーランスのメリット、デメリットとは(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)
具体的には、下記の通りだ。
- 雇用契約(正社員)であれば労働基準法などで守られる、労働時間、賃金額(最低賃金額や割増賃金額)、各種手当(残業代、深夜手当や休日出勤手当)、賃金支払いの原則(全額払いや、毎月1回以上一定期日払いなど)、休日休暇といった各種保護が存在しない
- 厚生年金や雇用保険、福利厚生など、会社からの保障が一切なくなり、必要であれば自ら手続して支払いする必要がある。交通費や諸経費も自己負担となる
- 労働問題や労災事故が発生したとしても「委託先の問題」として発注主が責任逃れするリスクがある
- 取引先都合により、急に仕事が打ち切られたり、報酬金額を下げられたりするリスクが常に存在する
このように、「会社対従業員」といういわば主従関係から脱せられ、自由を得られる代わりに、「会社対取引先」という関係性に変わることで、より個人の責任範囲が大きくなる、すなわち全てが「自己責任」となってしまうのだ。
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