10分間という短時間、かつ税込1200円という低価格でヘアカットサービスを提供する「QB HOUSE」においても先般、理美容師の契約形態に問題がある旨が報道された。同社では一部店舗(全店舗の約3割)において、本社が理美容師を雇用するのではなく、本社と業務委託契約を結ぶ個人事業主(QB HOUSE内で「エリアマネージャー」と呼ばれる)が理美容師を雇用する、いわば「社員が社員を雇う」という異様な形態を取っていることが明らかになったのだ。
直接の契約関係にない本社は、理美容師に対する雇用責任を免れる一方で、理美容師の中には、「本社と契約した」と誤認する人もいたという。またエリアマネージャーと雇用契約を締結している店舗の中には、社会保険未加入、残業代不払い、有給取得不可などの深刻な労務問題が生じている店舗も一部あると報道された。
全国でリラクゼーションサロンを展開している「ボディワーク」でも同様の問題が取り沙汰されている。同社のセラピストは業務委託契約で採用され、採用ページを見ると「リラクゼーションセラピスト」「リラクゼーションスペースでのお仕事」と曖昧な記載しかない。
一見する限りでは、セラピストとしての技術提供と接客によって出来高制の報酬を得られるように受け取れ、法的にも問題ないように映るのだが、内部関係者の告発によると、実質的には会社の指揮命令下で労働者としての業務遂行を求められ、違法性が疑われるという。具体的はこのようなものだ。
業務委託であるにもかかわらず、細かい指示をおこなって社員のように都合よく使い、一方で雇用関係にあれば一般的に会社が負担する研修費用などは実費請求する。まさに、業務委託の都合の良い部分だけをとって、リスクは働く側に押し付ける、悪意あるやり口といえるだろう。
本件を巡っては、違法性が疑われる契約条件について本部に確認をおこなったセラピストが契約解除になったことで、外部のユニオンと係争があったことが報道されている。
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