そもそもクレジットカードで公共交通機関に乗車するという仕組みは、ICチップをワイヤレス化することで決済を可能にするEMVコンタクトレスの登場が契機となっていた。これによって決済時のPIN(暗証番号)入力が不要になり、タッチするだけで乗車が可能になった。すでに海外では500都市でサービスが開始されており、利用が拡大している。
これは米ニューヨークの地下鉄改札口。当時、Apple Payに登録していた日本発行のMastercardのカードは、海外だとNFCによるタッチ決済になったので、そのままApple Payで利用できた。現状はVisaも含めて日本でもクレジットカードのタッチ決済に対応している日本のSuicaなどの交通系ICとできることは変わらない。しかし海外で利用しクレジットカードでタッチして乗車することに慣れた外国人は、当然日本でも利用したい。クレジットカードなので、現地通貨を必要とせず公共交通機関に乗れる。訪日外国人が、Suicaを買ってチャージすることを考えるとやはりクレジットカードの方が利便性は高い。
そうしたことから、国内でもクレジットカードによる公共交通機関対応が期待されていた。これに対応しようというのが、三井住友カードらのプラットフォーム「stera transit」で、2020年11月の京都丹後鉄道以来、鉄道でのクレジットカード対応が進められていったわけだ。
福岡市地下鉄は一体型の自動改札機で、南海電鉄のように専用自動改札機や既存自動改札機への外付けといういろいろなパターンがあるが、有人改札にリーダーを設置するというやり方であれば、比較的導入は容易だ。
福岡市地下鉄に自動改札機を納入する日本信号によれば、従来のFeliCa対応自動改札機と比べて、クレジットカードのタッチ決済対応にしてもハードウェアのコスト差はそう大きくはないという。
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