Suicaはライバルではない? クレカタッチで電車乗車を交通事業者が進めるワケ(3/5 ページ)

» 2022年06月14日 16時22分 公開
[小山安博ITmedia]

Suica導入より低コスト

 インバウンドニーズへの対応とは別に、キャッシュレス対応をしたくてもできなかった交通事業者にとってのメリットがある。コスト面だ。用途や規模によっても異なるため、具体的な金額は明らかになっていないが、Suicaなど交通系ICを導入するのに比べてコストを抑えられる。

 データの送受信は携帯回線を通じて行うので、インフラ整備もそれほど重くはない。自動改札機も、切符を回収する機構自体がコストであり、可動部は特にコストが掛かる。その点で、タッチ決済のみの場合はメンテナンスコストを含めて削減が期待できる。券売機の削減でコスト低下も見込める。

 導入コストの問題に関しては、例えば京都丹後鉄道は決済端末を電車内に設置。有人改札のある駅には窓口に決済端末を置くなどしていたが、路線内に無人駅があるため、車内で決済が行えるようにした。長良川鉄道も同様のやり方をしているようだ。

路線内に無人駅を抱えるため、車両内にクレジットカードのタッチ決済対応リーダーを導入している京都丹後鉄道
福岡市地下鉄・中洲川端駅の改札。1通路がクレジットカードに対応しており、入場と退場でリーダーの角度を変え、使いやすい位置や角度の検証をするという

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