賃金が上がらないことが社会問題化しています。岸田首相は2021年11月の「新しい資本主義実現会議」で、企業に対して3%の賃上げを要請しました。日本経済団体連合会がまとめた『2022年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況[了承・妥結含](加重平均)』の第1回集計(5月20日発表)によると、上昇率の平均値は2.27%で、3%とは大きな開きがあります。
図1は厚生労働省の『毎月勤労統計』による所定内給与の賃金指数です。所定内給与というのは、基本給や役職手当など、所定労働時間しか働かなかった場合に支払われる賃金のことです。つまり残業手当や休日勤務手当など、超過勤務手当を除いた賃金です。「一般労働者」(正社員)のこの指数は、21世紀に入ってからほとんど上がっていません。01年から21年までの20年間で2.8%しか上昇しておらず、年率に直すと0.14%です。
賃上げ率は過去10年間、おおむね1.7〜2.5%の範囲で推移してきました。毎年賃上げがなされているにもかかわらず、賃金指数が横ばいであることに疑問を抱かれるかもしれません。
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