「スイッチ買ったばかりなのに、もう次のハードが出るの?」 任天堂を悩ます次世代機の投入タイミング妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(5/7 ページ)

» 2022年06月17日 07時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

大きな為替の影響

 また任天堂は海外比率が78.8%と高く、為替が業績に与える影響も大きくなっています。

 売上段階では為替で785億円ほどプラスの影響があり、営業利益段階では430億円ほどのプラスの影響があったとしています。

 さらに任天堂は有名なキャッシュリッチな企業でもあり、現預金が1.2兆円ほどあります。

 海外事業を積極的に行っていますから、現預金の中の外貨も多額で、22年3月末時点で31億2500万米ドル、3億8100万ユーロを保有しています。

 そのため円安が進むことで円ベースで見た資産は増加し、為替差益も456億円と非常に多額です。営業利益への影響と合わせてみると、為替の影響だけで計886億円の利益が出ているのはすごいですね。

 円安は5月10日に行われた決算発表の後も大きく進んでいて、22年6月時点でも大きく進んでいたドル円は134円を超えましたから、円ベースで見た際の為替による業績へのプラスの影響は考えられそうです。

 特に23年3月期の想定レートはドル円で115円としていますから、その点からは業績の上振れが期待できそうです。為替差益の面で考えると、単純にドル円は31億ドル持っているわけですから、レートが1円変わると、31億円プラスに働きますし、ユーロでは3億8000万円プラスに働きます。ドル円では22年6月時点では134円台ですから、レートがそのままなら単純計算だと590億円以上の上振れが起きることになります。

 ただし、海外事業の規模が大きい任天堂にとってはそもそも外貨建で取引を行うことが多いです。外貨を円転すること自体があまり考えられないので、円ベースの資産が増えたからといって実際の事業にどれだけ影響を与えるかは不明です。

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