ユニクロの「フリース1000円値上げ」は正しい、なるほどの理由スピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2022年06月21日 09時48分 公開
[窪田順生ITmedia]

中学生でも分かる理屈

 最近よく「人口減少が恐ろしい」という記事をよく目にするが、人口減少という現象自体は米国以外の先進国でほぼ例外なく起きているので、これ自体が恐ろしいわけではない。また、悪いことだけではなく、環境破壊や食料問題など人が減ることで解決できることもたくさんある。

 人口が減っているという事実はもう何をしても覆らないのだから、それに素直に対応すればいいだけの話だ。例えば、人口が減る中で経済規模を維持していくには、1人当たりの生産性をあげていくしかない。人間の数が減るのだから「1人当たり」の稼ぐ力を上げなければ計算が合わないというのは、中学生でも分かる理屈だ。

労働者の賃金がなかなか上がらない(出典:全労連)

 では、「稼ぐ力」は何かというと、労働者が生み出すお金の価値を上げることなので、究極的には「賃上げ」しかない。時給900円の労働者がどんなにDXを活用しても、時給1500円の労働者が「生み出す価値」にはかなわない。これは「勤勉」とか「働きやすさ」というフワッとした話は一切関係ない。諸外国で当たり前に進めている経済対策という「数学」の話だ。

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