ユニクロの「フリース1000円値上げ」は正しい、なるほどの理由スピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2022年06月21日 09時48分 公開
[窪田順生ITmedia]
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日本人の「狂気」

 しかし、残念ながら日本ではその当たり前のことをやらない。

 日本の技術力がどうしたとか、消費税をなくせば日本は復活だとか、人口減少という数字の問題からひたすら目を背けて、諸外国ではあり得ないような独自のロジックを唱え続けている。この「日本は特別な国」という傲慢(ごうまん)さは、これから本当に恐ろしい事態を引き起こす恐れがある。

 これは前の戦争とまったく同じだ。あのときも経済分析で米国に勝てないことは開戦前から分かっていたが、その事実から目を背けて戦争回避・停戦交渉という当たり前のことをやらず、「大和魂があれば負けない」などとワケの分からない精神論を掲げて破滅につき進んだ。

 自分たちの都合のいい話しか受け入れない日本人の「狂気」のほうが、人口減少よりもはるかに恐ろしいと感じるのは、筆者だけだろうか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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