上野動物園の双子パンダ、308億円の経済効果 “ネコノミクス”超えなるか?シャオシャオとレイレイ、1歳に(3/5 ページ)

» 2022年06月23日 09時50分 公開
[スギモトアイITmedia]

7頭のパンダを所有するアドベンチャーワールド VS 上野動物園

 では、同じ双子パンダであれば、日本国内どこにいても経済効果は変わらないのだろうか。7頭のジャイアントパンダを所有する和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」では、14年に誕生した双子のジャイアントパンダ姉妹「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」が暮らしている。

 22年6月現在、日本国内でジャイアントパンダが飼育・展示されているのは上野動物園、アドベンチャーワールド、神戸市立王子動物園の3カ所。中でも、アドベンチャーワールドは国内で最もパンダの飼育数が多い。

アドベンチャーワールドにも双子のパンダが存在する(画像:アドベンチャーワールド公式Webサイトより)

 この疑問を宮本名誉教授に投げかけてみた。算出時期に違いがあることを前置きした上で、同じ双子パンダという点で比較すると「桜浜と桃浜の経済効果は約110億円(当時)であったため、経済効果としては上野動物園の方が大きい」との説明だった。

 「上野動物園の方が経済効果が大きい理由としては『入園料』『訪問目的』『交通の便』の3つが考えられる。例えば、入園料は上野動物園だと大人1人当たり600円に対し、アドベンチャーワールドは4800円(取材時点)と約8倍。入園料が安いというだけで、何度も訪問しやすくなる」(宮本名誉教授)

 宮本名誉教授は、白浜町の立地と交通の便に着目し、次のように説明を続けた。

 「白浜町には、海水浴場の白良浜や白浜温泉などもあるが、大半の人の目的はアドベンチャーワールドだろう。しかし、上野は違う。都内にはさまざまな観光スポットがあり、仕事や用事終わりの人でも、行こうと思えばその足で上野動物園へ行ける。アドベンチャーワールド周辺は交通の便があまり良くないため、車での移動が求められる。普段、運転をしない人やできない人からすると、行動が制限される可能性が高い。一方、都内は交通の便も白浜町と比べて圧倒的に良い」(宮本名誉教授)

 パンダを見に行きやすい環境がどれだけそろっているかに、経済効果は大きく左右されることが分かる。

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