上野動物園の双子パンダが持つ経済効果は、私たちの身近だと、どのような現象と同じ影響力を持っているのだろうか。
宮本名誉教授が挙げたのは、「13年の東北楽天ゴールデンイーグルスの優勝」「15年の福岡ソフトバンクホークスの優勝」だった。どちらの年も、パ・リーグ制覇そして日本シリーズの栄冠に輝いている。つまり、双子パンダの経済効果は日本シリーズ優勝と同じだけの影響力を持つことになる。
ちなみに、宮本名誉教授の試算によると「ビッグボス」の愛称で親しまれる北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督の経済効果は約59億円だという。驚くことに、双子パンダの約5分の1の影響力に留まる。この背景には、「人の場合には、人気や成績、観客動員数などの外部要因に左右されやすい」(宮本名誉教授)ことが関係する。一方、パンダなどの動物は外部要因に影響されにくく、経済効果は安定しやすいとのことだ。
とは言いつつ、新型コロナウイルスによる影響は避けて通れない話題だろう。今回、宮本名誉教授が「上野動物園の双子パンダの経済効果(速報版)」を発表したのは、新型コロナウイルス感染拡大による影響が読みにくい21年6月だった。
コロナ禍の影響を加味した経済効果を再計算するのかと質問したところ、宮本名誉教授からは、「よほど大きな変化がない限り、再計算はしない。なぜなら、あくまでも経済効果の需要(時期)がズレるだけだから」との答えが返ってきた。
「上野動物園も人流を抑制するために入園制限を行っているが、双子パンダを見たいという需要が無くなるわけではない。あくまでも、パンダを見に行く時期が後ろ倒しになるだけであって、そこから得られる経済効果は大きく変わらないと考えている。多少変化があったとしても、10〜20%程度の変動でしょう」(宮本名誉教授)
JTB総合研究所が20年5月に実施した「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化と旅行に関する意識調査」によると、「外出自粛や渡航制限が解除になったらやりたいこと」として1番多かったのは国内旅行だった。
外出自粛要請は解除されたものの、感染拡大を防ぐために、旅行や外出を控えている人は現在も一定数いるだろう。そのため経済効果として現れるのに時間差はあるかもしれないが、上野動物園で双子パンダを見たいと人々が想う限り、経済効果自体は大きく変動しないと考えられる。
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