ちなみに、ハシモトホーム社長が「余興」と説明した「侮辱賞状」が始められたのは、「10年ほど前から」(朝日新聞 6月25日)ということだが、実はこのタイミングもハシモトホームが非常に苦しい戦いを強いられたときだ。
「青森市の人口減少・少子高齢化の進展が青森市に与える影響・課題と対応の方向性〜中間報告〜」(平成27年2月5日 成長戦略研究センター)には「新設住宅着工戸数の推移」について、以下のようなポイントが指摘されている。
「県、市ともに減少の一途を辿っていたが、平成22年を底に、緩やかな増加傾向で推移」
実は青森県はずっと住宅着工数が減少の一途をたどっていて、ちょうど10年〜11年あたりが「底」だったのだ。いくら「地域No.1ハウスビルダー」であるハシモトホームとしても当然、苦しい戦いを強いられていたときだ。こういう劣勢に立たされると、「絆」とか「みんなでがんばって、この苦境を乗り越えよう」という精神論がやたらと盛り上がるのが、日本企業のお約束だ。
そして、「侮辱賞状」というハラスメントが生まれたのである。苦しい戦いになればなるほど、現場に精神論を求めて、常軌を逸したハラスメントが生まれるという「スルガ銀行の法則」通りのことが、ハシモトホームでも起きていた可能性が高いのだ。
という話をすると、「確かにハシモトホームやスルガ銀行はそうかもしれないが、すべての日本の組織が結果が出なくなるとパワハラをするという話は、さすがに無理があるのでは」と感じる人も多いだろう。
今回のケースでも、SNSやネットで男性を死に追いやった犯人として叩かれているのが「上司」であるように、パワハラやイジメは組織の問題ではなく、「ヤバい人間による個人犯罪」というのが、日本人の一般的な認識だからだ。
ただ、仕事柄、さまざまな企業のパワハラの内情を見てきた筆者から言わせていただくと、いつまでもこれを「組織の問題」として捉えていないので、いつまでも同じ悲劇が繰り返されているような気もする。
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