電気通信事業法において、接続料は「適正な原価」+「適正な利潤」を「需要」で割ったものとされている。需要は通信量(トラフィック)と考えられ、基本的に、契約者数が増えたり、5Gが普及して契約者が使うデータ通信量が増えたりすれば、通信料=分母が大きくなって接続料は安くなる。
適正な原価は、MNOの事業運営にかかる費用だ。ネットワーク機器やその保守にかかる費用、電気代、試験研究費などが含まれる。そこから音声通話に関わるコスト、回線容量に関係しないコスト、営業費などを除外したものがデータ通信の接続料の原価となる。
適正な利潤とは、「他人資本費用」「自己資本費用」「利益対応税」の合計とされている。他人資本・自己資本費用とは、他者から借り入れて作った設備、自分の資産で作った設備をMVNOに提供する場合に、適切な利益を得ていいという考えだ。この自己資本費用の利潤については、長期国債の平均金利や各社の株価に基づく値、主要企業の平均利益率などを用いた計算から導き出されており、複雑だ。
かつては、契約者数が多いドコモの接続料が最も安かった時期が続いた。MVNOが「格安SIM」として注目され始めた14年度の接続料を見てみよう。多くのMVNOが選択している接続形態であるレイヤー2接続で10Mbps当たりの月額が、ドコモは78.5万円、KDDIは96.1万円、ソフトバンクは115.1万円となっている。当時は、接続料の安いドコモの回線を利用してサービスを提供するMVNOがほとんどだった。
その後、大容量のデータをやり取りするスマホが普及したことで接続料は年々下がっていく。19年にはドコモが最も高く42.7万円、KDDIが42.1万円、ソフトバンクが39.1万円となっている。現在ではKDDIやソフトバンクの回線を利用してサービスを提供するMVNOも存在するが、接続料の低廉化が要因となっているのは確かだろう。
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