「ビッグカツ」や「岩下の新生姜」をギターの音で表現したら大当たり どんな音?100台売れれば大ヒット(2/4 ページ)

» 2022年07月06日 09時40分 公開
[長濱良起ITmedia]

「分厚くてザクザクした感じ」をサウンドで再現

 岩手県花巻市で2010年に創業したLEP INTERNATIONALは、米国や欧州にもユーザーの多いブランド「One Control」や、国内を中心にシェアを広げるブランド「Effects Bakery」などを展開。中国に自社工場を構え、生産面でも販売面でも世界へと羽ばたく地方発の企業だ。エアロスミスのジョー・ペリー、King Gnuの常田大希、あいみょんらも同社製品のユーザーとして知られる。

 今回の「スグル食品のビッグカツディストーション」のヒットに、同社の川村朋和社長は「信じられないぐらいの売れ行きで、状況がうまく飲み込められていない」と喜ぶ。

ビッグカツ LEP INTERNATIONAL 川村朋和社長

 ビッグカツディストーションは、“本家ビッグカツ”同様に、「分厚くてザクザクした」感じを見事にそのサウンドで再現したといえる。音を深く歪(ひず)ませることで“ザクザク”としたパンチのある食感を出しながらも、ゆがませてもなお音自体の存在感を損なわないサウンドは、まさにビッグカツの「肉感」を演出している。

 川村社長は、音のイメージをビッグカツに近づけるため、実際に2カ月半ほど毎日ビッグカツを食べて製品作りに励んだという。「だいぶ太りましたよ。5、6キロぐらいですかね。身を削ったというより、身を増やしました」(川村社長)。その努力が実を結び、出来上がったサウンドは、自身でも「大好き」と即答するほどの満足度に仕上がった。

ビッグカツ (公式Webサイトより)

 同商品を展開する「Effects Bakery」ブランドはそのコストパフォーマンスも魅力だ。エフェクターは1万円でもかなり安価な印象がある市場ながら、その中心価格帯は4000円前後。手に入れやすい身近な存在という意味でも、駄菓子であるビッグカツに似たものを感じる。

 安価ながらもサウンド面でのユーザー評価は高く、川村社長は「高価格帯のエフェクターとも遜色ないような部品を使って、しっかりとしたものを作っています。実際にそういった商品は売れています」と話すように、当初は異色の企業コラボで耳目を集めたものの、ふたを開けてみるとクオリティー自体への確固たる評価がベストセラーにつながった。

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