――映画をつくるきっかけは、どちらから提案したんですか。
星: オレは只見線を復活させたいと思って。県がなんと言おうと復活させないと、この地域が死んでしまう。只見線をPRするためには、特に海外に発信したい。テレビ番組は海外にまで行かないから、映画をつくって海外で見せる。だからぜひ、監督に撮ってくださいと。
安孫子亘氏(以下、安孫子): 星さんの「11年に只見線が……」という話を聞いたとき、そんなことになっているとは僕も知らなかったし、世の中の人たちも忘れかけていた。というわけで僕は、そういうことを記憶にとどめて後世に残したいと思ったんです。当時は、只見線の存続自体がどうなるか分からない状況だったので、星さんの「記録したい、只見線を世界に広めたい」という切なる願いを聞いて、やってみようかなと。
――でもお金がいるでしょ(笑)。
安孫子: それ、僕はあまり気にしていないんですよ。やっぱり情熱ですね。星さんとやってると、だんだん熱量が伝わってくる。そしてほかにも仲間たち、只見線を影で支えてくれる人たちがいた。応援団が全国に広がっている。僕もそういうことがだんだん分かってきて、自分なりに表現する方法が何かあればと思って始めたんです。
――ということは、クラウドファンディングはお金に困っているというより、全国の皆さんに応援してもらいたいっていう気持ちなんですね(編集部注:本作は20年2月からクラウドファンディングで制作資金を募っていた)。
安孫子: それが一番ですね。
――撮り終えて、只見線の印象は変わりましたか。
安孫子: 生活路線ではない地方鉄道が、どうやって存続にこぎつけられるか。映画を通して、こういうことをやってる人がいる。仲間がいる。何かヒントになるようなものがこの映画にあればいいと思っています。
只見線の鉄橋が流されたのは、異常気象や気候変動が重なった結果だと思うんです。今すぐに地球温暖化は改善されないかもしれないけれど、これまでと同じことを繰り返しても仕方がない。毎年どこかの地方鉄道が犠牲になっている。災害にも負けないような地域づくりや暮らしを考えていかなければ、同じことを繰り返す。そのことをこの映画で感じていただければと思います。
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