――只見線と奥会津は、やっぱりダムと共に生きていくんですね。
星: 川がそんなに流れていかないから奥会津の絶景ができる。鉄橋の列車が川に映って鏡のようになる。
安孫子: 客観的に見たら列車は乗るものかもしれませんが、逆に見る鉄道がある地域っていうのは、新しくていいんじゃないかなと思います。見るポイントっていっぱいありますからね。
星: 際限なくありますよ。だって一橋(只見川第一橋梁)だって、際限なく撮る角度があるわけだから。上から撮る。下から撮る。右から、左から、逆側から。
安孫子: 強いていえばお年寄りが上に登れたらいいですね。
星: 将来的には一橋を見渡す山にエレベーターをつくれと言っているわけ。冬でも行けるように、年寄りも行けるように(笑)。
――いいですね、余部鉄橋もエレベーターありますし。スロープカーでも。
星: 日本一の絶景だと思うけど、一般の観光客には行きづらいんですよ。登山だし。
――新たな目標ができてるってことですね。
星: やりたいことは際限なくありますから、これで十分ということはないんです。無限列車は鬼滅だけど、霧幻鉄道は不滅です(笑)。
――ところで、安孫子さんの次回作の構想は?
安孫子: やっぱり福島に住んでるからには福島を見続けていきたい。これからの展開がどうなるのか注目しています。特に会津の伝統的なものを生かした暮らしぶり。そういったものを続けてる人に注目していきたい。自然だとか故郷を見続けたいですね。
――裸祭り(七日堂裸参り)も迫力でしたね。あれだけでドラマが1本つくれそうです。
安孫子: 福島にきて、今までは美しい福島をテーマに活動してきたんですけど、美しい福島から視野を広げて環境破壊とか、美しい地球を残したいっていうテーマに変わってきています。そういう意味でも美しい風景を残したい。そこに共感しつつ、映画を見てもらいたいです。
――美しい福島、美しい北海道、美しい山陰、誰もがそれぞれの居場所を美しまま残したいと思えば、全体として美しい国、美しい星になるわけですね。
安孫子: まさに壊れかけていく地球ですから。本当に自分たちの暮らしを考えなくてはいけない。
――只見線を守れなくて地球を守れるか、ですね(笑)。
(c)ミルフィルム
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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