マッチングサービスは、そのビジネスモデルから新型コロナウイルスの感染拡大の中でも業績を伸ばした数少ない業種だ。
同サービス世界最大手のTinderトップに2021年9月に就任したレナータ・ナイボーグCEOが、ITmedia ビジネスオンラインのインタビューに応じた。
Tinderの親会社マッチグループの21年第4四半期の決算を見てみよう。
売上高は前年比24.8%増の29億8300万米ドル(約4112億円※7月22日現在)で、営業利益は同14.2%増の8億5200万米ドルと増収増益を果たし、パンデミックに強い事業モデルであることを示した。
有料会員数は、前年同期比15%増の1624万人。会員1人あたりの収入は同8%増16.16米ドル(約2200円)に達した。米国で、過去1年間にオンラインをきっかけとして付き合い始めたカップルの60%は、マッチグループのいずれかのアプリを通して出会ったというデータもある。ナイボーグCEOに今後の展開を聞いた。
――来日した理由は?
CEO就任後、米国以外では日本が初めて訪れる国です。ずっと日本に来たいと思っていました。訪れた理由は2つあります。1つ目は米国以外では日本が最も大きいマーケットだからです。私以外にも商品や顧客体験の担当者など、合わせて6人で来日しています。
2つ目は、日本がメンバー(利用者)の安全対策について先駆者的な役割を果たしているからです。当社は今年で創業10周年をむかえるのですが、イノベーションを非常に重視しています。20周年に向かうに当たり、事業上の優先事項は何なのかを考える局面にきています。
例えば、マッチングアプリとしてシンプルであり続けること、利用者の安全面の確保が課題となっています。この課題に対しては、日本が先駆者的な役割を果たしているので、それを日本から世界に広げていきたいと考えています。
これからもローカルに合わせた機能を構築していきます。特にバーチャルグッズやNFTに関心がありますので、イノベーションあふれる日系企業から学びたいと思っていますし、機会があれば連携したいと思っています。
――日本は安全面の対策が先行しているとのことだが、直近の課題と対策は? どうやってグローバルに広げていくのか?
コロナ禍で若年層がTinderによってつながることが増えています。一方で、世の中では実際に対面で会えない状況が続きました。今は徐々に人に会う流れが戻りつつありますので、両者を守る責任があると思っています。
いろいろな形がありますが、まずはアプリ上で出会ったときの会話を始める上での安全と、誰かと会うときの安全の担保が課題です。マッチングアプリを初めて使う人もいますので、初めて会う人に失礼がないようにするために、TinderではAIを使った「迷惑メッセージ防止機能」を導入しています。
この機能を使うことで、メンバーが不快に感じる可能性のあるメッセージに対して、メッセージを送る側には「この言葉は失礼にあたるかもしれません、本当に送りますか?」と警告文を表示し、また受け取る側には「メッセージに不快な思いをする内容がありましたか?」と迷惑行為の有無について問いかけます。
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