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Tinderのグローバルトップに聞く勝算 アジア太平洋で前年比25%増収を目指すマッチングアプリの展望(2/5 ページ)

» 2022年07月22日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

滞在時間は最短であるべき

――日本では4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。その辺を含めた受け止めは?

 Tinderの対象年齢は当初から18歳以上です。日本では以前から年齢確認機能が備わっていて、チャットを始めるには身元の証明をしなければなりません。この機能は世界中に広めたいですし、こうすることで年齢の虚偽申告などを防いでいきたいと思っています。

 Tinderを利用してモノを販売しようとする人もいるので、その防止にも役立つでしょう。

年齢確認機能

――実際にTinderを使ってみると、少数ではあるものの見るからに投資を誘う目的のメンバーなど、出会い目的ではない人が存在している。運営側として、どう捉えているのか?

 そういう人は締め出していきます。先日も担当チームと対策ミーティングをしました。怪しいアカウントを持っている人は巧みで、いつも新しいやり方を仕掛けてきます。しかし、アカウントを数分で閉ざすことが可能です。

 メンバーからの「報告」にも頼っていまして、タップするだけで、そのようなアカウントを報告するシステムもあります。メンバーの皆さんには、怪しげなアカウントがあれば迷わず「報告」してほしいと思います。

違反報告

――10年後の創業20周年に向けて、メンバー数を増やすなど目標があると思う。何を成し遂げていきたいのか?

 メンバー数を増やすのはもちろん大事です。ただそれ以上に、メンバーが誰かと会話をして知り合い、そして実際に出会うことを促進することが使命だと思っています。ソーシャルメディア、音楽など世の中にはいろいろなプラットフォームがありますが、Tinderの場合、滞在時間は最短であるべきと思っています。

 というのは、広告収入に収益が基づいていて、滞在時間の最大化を狙っている企業と、当社はビジネスモデルが異なるからです。売り上げの90%以上がメンバーからの会員費で構成されています。だからメンバーには、Tinderで知り合った人と直接、会ってもらいたいのです。

 日本では、マッチングだけを提供するのではなく、リアルな世界での体験も提供していきたいと思っています。将来的には「フェスティバルモード」を充実させたいと考えています。例えば、同じフェスティバルに行く人をマッチングさせて実際のコンサートで出会ってもらうイメージです。

Tinderの事業モデル

――日本のように人口が減っていく国がある一方で、アジア諸国は総じて人口が増えている地域だ。同じアジアではあるが、同じ戦略では通用しない気がする。

 その通りです。欧州も同じような状況です。私はTinderで、米国人以外の初のCEOで、かつ初の女性CEOでもあります。何をもたらすことを考えるかと言えば、やはり国ごとの社会、経済、政治などの特性をしっかりと把握する必要があります。

 日本でもTinderは、都市ごとに異なる使われ方をしていまして、東京と大阪ではまるで違う国のようです。それぞれに合わせたやり方を推進してきたいと思っています。

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