そんな危機感の無さを端的に語るのが運転姿勢、とりわけハンドル(通常筆者はステアリングと表記するが、便宜上ここでは敢えてハンドルと呼ぶ)を握る位置だ。免許取り立ての頃はガチガチに緊張して、ハンドルを握りしめていただろうが、クルマの運転に慣れてくると徐々に握る位置がいい加減になり、片手運転やながら運転、あおりハンドルや曲がり角でのインカット(本来対向車が通過する内側部分を使って斜めに通過する危険行為)などをするドライバーも現れ始める。
40代以上のドライバーが自動車教習所で教わったハンドルを握る位置は、10時10分だったはずだ。しかし今は9時15分、ハンドルの中心から水平位置にあるスポークとリムの交点に親指を掛けるようにして握るのが主流となっている。これが最も合理的なハンドルの使い方だからだ。
未だに教習所では10時10分あたり(水平より少し上の位置)を勧めるケースもあるようだが、これは以前の教え方を踏襲してしまっているからだろう。クルマの性能や機能がアップデートしていることに、教習所側の判断が追い付いていない(変えることへの不安や責任論もあるだろう)のである。
慣れてくればハンドルのどの位置を握っても、真っすぐ走れなかったり交通事故を起こしてしまう、ということはない。しかし自動車メーカーが、ハンドルの左右スポークに親指を掛ける窪みを与えている車種が多いのは、それだけ9時15分を握ることを推奨していることでもある。
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