一方、競合のサーモスの製品も好調だ。同社広報は取材に対し「生産数はお答えできない」とした上で「猛暑の影響でオンラインショップや直営店の6月の売り上げでは、魔法瓶全体の売れ行きが非常に好調。特に大容量帯のボトルが人気で、スポーツボトルは昨年のピーク時期を超える売り上げとなっている」と回答。3月に発売した炭酸ボトルも「好調だ」としている。
気象庁は6月末、関東で史上最速の梅雨明けを宣言。猛暑が続き、東急ハンズやロフトでは暑さ対策グッズの販売ピークが前倒しとなり、品薄になる商品が相次いだ。
“前倒し猛暑”が事業に与えた影響を聞くと、同社は「通常だと、梅雨が明け気温が高くなるタイミングからボトルの出荷数が増える傾向にある。過去にもゴールデンウイークの猛暑で売り上げが伸びたりしている。気温が上がると売り上げに影響するのは通常通り」と回答した。ただ、「近年はコロナの行動制限の影響もあった。行動制限が緩和されている現在はお客さまの購買意欲がより高まっていると感じている」とも話している。
サーモスは2000年に、炭酸ボトルを国内で初めて開発するなど“炭酸ボトルのパイオニア”として知られる。だが、当時は炭酸飲料の市場が成熟していなかったことに加え、マイボトル文化が定着しておらず、販売が低迷。04年に販売を一度終了していたが、需要の高まりを受け、再び開発・改良に着手し、約3年の期間をかけ、約20年ぶりに製品化していた。
新規陽性者数が増加するなど新型コロナの感染再拡大が懸念される一方で、行動制限が緩和され、外出する機会が増えている。魔法瓶業界を代表する企業が手掛ける炭酸ボトルは、今夏、マイボトルの新定番になるかもしれない。他社も含め、今後の動向に注目が集まりそうだ。
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