投信ビジネスは預かり資産残高が重要なKPIとなるが、投信を販売しても、途中で売却があると、預かり資産残高は増加しない。楽天証券の場合、残高増加の原動力が積み立てだということも有利に働いている。「積み立てが岩盤として崩れない」(楠氏)のだ。
楽天証券は販売額が年間で2兆5221億円と業界トップなだけでなく、販売額から解約額を引いた純増額も1兆1175億円とトップ。その率も46.7%と他社を大きく上回る。
唯一の懸念点が、投信販売に伴うコストの増大だ。楽天証券では、販売手数料を取っておらず、逆にクレジットカードのポイントという形でコストが生まれている。この「取引関係費」というコストが増加し、売り上げの拡大以上に利益を圧迫してきた。直近、22年12月期上期(1-6月)でも、売上高が5.7%増加したのに対し、取引関係費を含む販売費・一般管理費は10.3%増加し、営業利益は11.3%の減益となっている。
この利益構造の改革が、上場を控えた同社にとっては重要だ。6月に楽天キャッシュ決済を導入し、クレカ積み立ての一部がこちらに移行した。そして9月積み立て分からは、クレカ積み立ての還元率が大きく引き下がる。こうした施策により「取引関係費増加の山は越えたかなと思っている。次の四半期くらいからは利益が増加してくる」と、楠氏は認識を示した。
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