楽天証券がクレカ積立のサービスを縮小し、新たに電子マネー「楽天キャッシュ」決済にかじを切る中、遅れてスタートした競合各社は、ここぞとばかりに攻勢を強めている。SBI証券が2021年6月30日にスタートしたクレカ積立は、1年で31万ユーザーが利用。積立設定金額は113億円に達した。
「現在ではクレカ積立の割合も積立全体の13.6%弱まで増加している。早期に楽天証券を追い越せるよう、アライアンス戦略の一層の強化、魅力的なポイント還元策の維持などお客さまの期待に応えられるよう努めていきたい」とSBI証券の鼻息は荒い。
とはいえ楽天証券も総崩れというわけではない。クレカ積立のユーザーは伸び続け、5月には200万人を突破。8月からは新たに楽天キャッシュ決済も可能にすることで、1人あたり最大10万円のキャッシュレス積立が可能になる。
新規の積立だけでなく、過去積立分の争奪も熾烈だ。楽天証券は保有投信残高へのポイント付与を4月から削減した。これに対し、SBI証券は投信引っ越しキャンペーンを実施。3月の投信入庫実績は、件数金額とも過去最高を記録し、138億円あまりのプラスとなった。うち77%が楽天証券からだ。
「現在SBI証券へ投資信託の移管希望者が殺到している状況」だとSBI証券。
「低コストインデックスファンドでは、その多くのファンドにおいて投信マイレージによるポイント還元として販売会社で受け取る信託報酬のほぼ全てお返ししている。証券事業の安定的な収益基盤により早期に見直しを迫られる状況にはない」とSBI証券は楽天証券との違いを強調する。
楽天証券では、ポイント還元策により多くのユーザーを集めたが、規模が大きくなった結果、コスト負担に耐えきれず、方針転換を余儀なくされた。SBI証券では、収益源の多様化が進んでおり、投信単体の事業で収益が出ずとも構わないという宣言ともいえる。
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