投信積立ユーザーをめぐる両社の争いは、この秋に第2ステージを迎える。NISAおよびつみたてNISAの金融機関変更が10月1日から可能になるからだ。投資可能枠をすでに利用している場合、その年の1月1日から9月30日の間は、金融機関変更は受け付けられない。
実は楽天証券が投信残高へのポイント付与削減を発表したのは21年12月28日。そしてクレカ積立の還元率変更を発表したのは22年2月1日だ。1月につみたてNISAを使った積立を行ったユーザーは金融機関変更ができないという、絶妙なタイミングでの発表だった。
この制約が明け、つみたてNISAなどのユーザーが、他の金融機関へ引っ越しできるのが10月1日から。特にSBI証券は、大々的に楽天証券のユーザーへの勧誘を進めるだろう。楽天証券はつみたてNISA口座全体の37.3%のシェアを持つトップ(21年9月末)。口座数は176万口座にのぼる。
つみたてNISAのユーザーは、投資初心者であるとともに長期投資を前提としている。つみたてNISAの開設とともに、他の商品への投資も行う可能性が高い。ネット証券としては、最もほしい属性のユーザーだ。
SBI証券対楽天証券。2大ネット証券は各所でつばぜり合いを続けている。急速な追い上げを見せた楽天証券は、800万口座を超え、単体ではSBI証券を抜いたと見られる。一方で、預かり資産残高では20.7兆円を誇るSBI証券は16.3兆円の楽天証券を上回る(いずれも22年3月末)。
国内株式の売買シェアでは、SBI証券40.5%に対し楽天証券が29.0%とビハインド(21年年間)。一方で投信販売額では楽天証券が7340億円(21年10-12月)と他社を頭一つ上回る(SBI証券は非開示)。
手数料無料化を進めるプライスメーカーであるSBI証券と、ポイント経済圏を武器に、使い勝手でユーザーに訴求する楽天証券。楽天証券は上場も控えており、次の一手が注目される。
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