「かかとが踏める革靴」作業着スーツのWWSが発表 業界の“あり得ない”を変える特徴とは?ボーダレス本革シューズ(2/3 ページ)

» 2022年08月04日 10時20分 公開
[上間貴大ITmedia]

究極のビジネスシューズつくりたい

 なぜかかとが踏めることにこだわったのか、オアシスライフスタイルグループの関谷有三社長は「当社が展開する作業着スーツ『WWS』に最も合う靴をつくろうと考えた」と開発した経緯を語る。ビジネスから日常使いまで対応するWWSと同様、多様なシーンでストレスなく履ける靴を目指したという。

 「究極の今の時代に合ったビジネスシューズをつくりたいと考えました。私は、普段は主にスニーカーを履いていますが、それだけではTPOやコーディネートに悩むわずらわしさもあります。そこで、革靴の窮屈さや履きづらさといったネガティブな部分を克服できる靴をつくれば、今の時代に最もマッチする商品になるのではと考えました」

スーツに見える作業着

 “究極な革靴”をつくるパートナーとして選んだのは、アシックス商事が展開するブランド「テクシーリュクス」。「ビジネスなのにスニーカーのような履き心地」をキャッチフレーズに、履き心地、歩き心地の良さを追求した商品を展開している。2009年秋から商品を発売し、累計出荷足数は6月末時点で620万足を超える。

 アシックス商事 販売創造本部 担当取締役の荒巻真央氏は「ビジネスパーソンをサポートするという側面で、WWSとテクシーリュクスには親和性があると考えました」と振り返る。

 しかしである。“かかとが踏める本革のビジネスシューズ”と簡単にいっても、靴メーカーにとって、かかとを踏むことは本来あり得ないこと、いわば「御法度」である。その依頼に荒巻氏は、「仕様上できなくもないが、踏んだまま歩かないこと、色落ちや変色する恐れがあることを販売スタッフが理解した上で展開することを条件に応じました」と話す。

スーツに見える作業着

 通常、靴のかかと部分には足を後ろから支えるため「ヒールカウンター」というパーツが入っている。かかとを安定させることで、歩行時に靴が脱げるのを防止する役割を果たしているパーツだ。通常の靴を履くときに、「かかとを踏まないで」といわれるのは、靴を長く履き続けるためにも安定して歩くためにも重要なことだ。

 一方、同商品は踏むことを前提とするためヒールカウンターを入れず、かかと部分が柔らかくなっている。リラックス時にはかかとを踏めて、歩行時にはしっかり歩けるという矛盾を両立させるため、「安全性の確認や品質管理、技術や生産体制についてアシックス商事内で何度も調整した」(荒巻氏)という。

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