相鉄・東急直通線、定期券の新サービスで何が変わるのか維持するものは(3/4 ページ)

» 2022年08月17日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

相鉄は横浜駅利用客の囲い込みを図る

 似たようなことは、相鉄でも計画している。西谷〜新横浜間を含むIC通勤定期乗車券を利用している人は、西谷〜横浜間に限り追加運賃不要で横浜での乗降が可能になる。同区間での途中下車は不可である。

 相鉄は「例えば、平日は相鉄新横浜線経由でラクラク通勤、休日は横浜駅周辺でお買い物、といったご利用が可能となります」と説明している。

新サービスのイメージ

 横浜は巨大ターミナルであり、相鉄の横浜駅には商業施設「相鉄ジョイナス」がある。定期券を利用してこれまで「相鉄ジョイナス」などに買い物に行っていた人にも、不便がないようにする。通勤定期は、休日にターミナル駅に出かける際にも使われることが多いため、その利用客を逃さないために設けられた制度である。

ダイヤ乱れの際にもメリットが

 また、これは通勤定期に限った話ではあるが、東急と相鉄の追加運賃不要の乗降制度を足すと、相鉄新横浜線・東急新横浜線でダイヤ乱れが起こった際に、東急東横線と相鉄線を横浜で乗り継ぎ移動する場合には、綱島〜横浜間だけの運賃で大丈夫になる。もちろん、振替輸送の対象になったときは通勤定期でも通学定期でも無償で振替が可能になるものの、対象にならない場合で(ちょっと状況があやしいと思った場合など)自主的に判断して動く場合には、運賃の負担だけで大丈夫である。

 もちろん、磁気定期券では振替輸送が設定されたときにはルート変更が可能だ。運賃も必要ないが、いま磁気定期券をつくる人はほとんどいない。さまざまな利便性を理由に交通系ICカードの定期券を持つ人が増え、乗り越し精算などをしなくて済む点が多くの人に支持されているからだ。このようなケースでは、交通系ICカードの利便性がありがたいものとなる。

【訂正】9月9日13時15分 初出「振替輸送」のところで誤りがありました。現在は訂正しています。

 この新サービスで、相鉄も東急も自社沿線で営業する各施設の利用を維持でき、定期券の利便性も損なわずにすむ。加えて、新線での直通運転により一本で行き来できる新サービスを乗客に提供できる。新線を利用するインセンティブを完備しているわけだ。

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