相鉄・東急直通線、定期券の新サービスで何が変わるのか維持するものは(4/4 ページ)

» 2022年08月17日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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上手な新サービスへの誘導

 東急にしても相鉄にしても、グループ全体でそれまで積み重ねてきたサービスがある。どんな企業も、ユーザーに新サービスを提供する際に、従来のサービスを利用してきた既存客への対応を考えなければならない。過去のサービスやシステムに愛着を持っていた人もいて、その人たちにも満足させられるような新サービスでなければいけない。

 例えば、鉄道でいえば回数券である。新幹線の回数券は、ネット予約とチケットレスサービスでほぼ代替できた。割安さは、特に東海道/山陽新幹線はチケットレスサービスのほうが上であるともいえる。

 しかし、普段よく使う短距離の回数券は、なかなか交通系ICカードで代替できなかった。交通系ICカードの使い勝手の良さで回数券の利用は減っていたものの、「割引」の部分をどうするかが課題となっていた。

 そこで多くの鉄道会社は「ポイント」サービスを導入した。クレジットカードからチャージした際のポイント、乗車した際のポイントと、次第に回数券のようなお得さが増していった。これらを充実させることで、ようやく回数券を廃止できるようになった。

 今回の相鉄・東急直通線の開通でも同じことがいえる。西谷〜羽沢横浜国大間が開業し、JRへの直通が可能になった際に指摘されていたのだが、これまでの横浜を利用できる利便性はどうするかが課題となっていた。今回の相鉄・東急直通線は、相鉄・JR直通線よりも本数が多い。課題として表面化することは避けられなかった。

相鉄・東急直通線用新型車両「21000系」

 その課題の解決策を前もって示したのが相鉄である。東急も、加算運賃を必要とする区間を調整し、定期券の特例を示すことで、既存ユーザーにも不便がないようにした。サービス面での対応もあわせて、新路線の開業に備え、多くの人に利用してもらおうと工夫している。

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