コロナ禍で列車本数を「減らす鉄道」「減らさない鉄道」の違い今後どうなる?(2/4 ページ)

» 2022年08月31日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

東京メトロ、8月27日に銀座線などをダイヤ改正

 7月7日、東京メトロは8月27日にダイヤ改正を行うと発表した。対象路線は銀座線、丸ノ内線、東西線、千代田線で、「お客様のご利用状況に合わせた運転本数の見直し」とのことである。

春に続き減便を発表した東京メトロ(写真提供:ゲッティイメージズ)

 主だったものを挙げてみよう。銀座線は平日10〜16時、土休日8〜20時の渋谷方面行きおよび浅草方面行きを1時間当たり18本から12本にする。またラッシュ時の本数を削減する。

 丸ノ内線は平日日中および土休日の本数を微減、ラッシュ時の本数削減、中野坂上駅〜方南町駅間で3両編成の運転を取りやめ、全区間の列車を6両編成に統一する。

 東西線、千代田線はラッシュ時を中心に本数を微減する。

 同社では、この春にダイヤ改正を行ったばかりである。そして再び、8月にダイヤ改正に踏み切った。コロナ禍で乗客数が戻っておらず、利用状況を見て本数を減らすようだ。

 他社乗り入れのある東西線や千代田線が微減(乗り入れ先はダイヤ改正をしない)なのに対し、車両と設備の構造上他社線と乗り入れできない銀座線と丸ノ内線は、大規模にダイヤ改正を行う。時期を見ると、緊急のダイヤ改正という側面も感じられる。

 東京メトロは、23年3月期第1四半期の決算で鉄道事業の営業利益が88億2400万円となっている。前年同期は営業損失が36億3000万円だった。利益自体は乗客が戻ったことで回復したものの、まだコロナ前ほど回復できていない状況にあるといえよう。

 銀座線の平日日中などは大きく本数を減らしたが、路線の特性上いざ利用者が増えてきたら元通りに戻せるということもある。ただ、この先の見通しは厳しいという予想を立て、商品である鉄道のダイヤをどうするのか戦略を立てているのだろう。

 他の鉄道会社でも、ダイヤ改正こそしないものの、似たような視点でこの先の厳しさを想定しているところがある。

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