この春のダイヤ改正では、首都圏や近畿圏などの都市圏を中心に、全国的な列車本数の削減が目立った。コロナ禍で利用客が減っている、というのが表向きの理由だが、背景には鉄道業界の業績悪化がある。
2022年3月期決算をみると、JR東日本の鉄道事業での営業損失は2853億円、東京メトロは同236億5600万円だった。コロナ禍で行動制限が厳しかった21年度よりも営業損失は回復しているものの、なお乗客は戻っていない状況だ。
長引くコロナ禍で鉄道事業はどうなるか(写真提供:ゲッティイメージズ)
少子高齢化が進み、労働人口の減少も予測されている中、コロナ禍で在宅勤務が普及し、鉄道の混雑も緩和されていった。
21年度の東京圏の最混雑時間帯1時間の平均(混雑率)は、東京圏108%、大阪圏104%、名古屋圏110%となっている。コロナ前の19年度は、東京圏163%、大阪圏126%、名古屋圏132%だったことを考えると、かなり混雑は緩和されている。なお、20年度は21年度に比べて混雑率は低かった。
22年度に入り感染者数が増え、いったんは減少に転じたものの、再び急増。過去最大規模の感染者数となり、いまのところ沈静化する見通しは立っていない。政府が行動制限を求めなかったことを受け、人々の通勤もコロナ前ほどではないが徐々に増え、この夏は帰省や旅行をする人も多かった。そこでさらに感染者数が増える状況となっている。
そんな中、急なダイヤ改正を発表したのが東京メトロだ。
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