ゲーム・玩具・アニメーションの分野を中心に日本を代表するエンターテイメント企業、バンダイナムコグループ。グループ内では『機動戦士ガンダム』シリーズや、アイドル活動をテーマにした『アイドルマスター(アイマス)』『ラブライブ!』『アイカツ!』の各シリーズ作品に加え、誕生から27年以上続くRPG『テイルズ オブ』シリーズなど、数々の一大コンテンツを擁する。
国内全てのエンターテインメントにおける消費者の支出喚起力を順位付けした「支出喚起力ランキング」(博報堂)では、2021年に『ラブライブ!』が182億円で9位、『ガンダム』シリーズが134億円で14位に入った。音楽ライブエンターテインメントに大きな影響を与えたコロナ禍以前の18年には、1位の「嵐」に続く形で『アイマス』シリーズが2位、『ラブライブ!』シリーズが3位にランキング入りしている。
こうしたバンダイナムコグループの作品がいちどうに会し、ライブをするのが「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル(バンナムフェス)」だ。1回目が19年10月に東京ドームで開かれ、2日間で約10万人を動員した。
1回目の公演直後、第2回を同じく東京ドームで20年に開催する発表がされたものの、実際に20年に入ると新型コロナウイルスの感染拡大により開催が延期。その後21年2月に東京ドームでの開演を予定していたが、21年に入りデルタ株のまん延による緊急事態宣言が発令されたことにより、さらなる開催延期を余儀なくされた。
その後21年12月に、バンダイナムコは22年5月14〜15日に千葉市幕張地区にあるZOZOマリンスタジアムでの開催を決定。“3度目の正直”という形で晴れて開催された。バンナムフェスでは『アイマス』や『ラブライブ!』『アイカツ!』シリーズなど、バンダイナムコグループから生まれたアイドルが楽曲を披露した。
加えて『ガンダム』シリーズ作品や『テイルズ オブ』シリーズのテーマソング・主題歌を担当したT.M.Revolution/西川貴教や、DEEN、LUNA SEAなどといった音楽アーティストによる曲も演奏された。ライブ公演時間もフェスの名にふさわしく、2日間で10時間以上にわたった。
こうしたアーティストの垣根を越えた音楽フェスはレコード会社やライブエンタメ専門の企業が主催することが多く、アニメやゲームの作品や楽曲の権利を持つ企業が主催するのは異例だ。
なぜ、バンダイナムコグループが音楽フェスを展開するのか。その独自の狙いは何か。バンナムフェスでライブ配信を中心に事業計画を手掛けたバンダイナムコエンターテインメント・クロスメディア課の吉本行気さんにインタビューした。
――2回目のバンナムフェスを終えられての手応えを教えてください。
本来でしたら1年後に開催できていたものが2年半、1000日近く空いてしまいました。その間ファンの方を、本当にお待たせしてしまったと思います。最後まで無事にやることができて、とにかくほっとしています。
――2回目は、1回目と比べて、どんな点が大きく変わったのでしょうか。
会場が、当初予定していた東京ドームからZOZOマリンスタジアムに変わりました。その他、4月29日からバンナムフェス開催前日まで15日間にわたり、「バンナムフェス2ndオンライン」という名称で、連日オンライン配信をしてフェスに向けたイベントをネット上で仕掛けました。
ライブに出演するキャストさんなどを呼んで、各作品に関連する企画番組を配信しました。その他、ライブに直接出演しない方でも、例えば狩野英孝さんや「にじさんじ」のライバーさんを呼んでゲーム実況をする番組も配信したり、小島よしおさんが考案した「ムキムキ体操」を、『アイドルマスターSideM』の曲に合わせて踊ったりする配信をやりました。
――15日間の配信は全て無料でした。狙いは何だったのでしょうか。
15日間の「バンナムフェス2ndオンライン」は当初のプランにはなく、再三にわたるフェスの延期の末、新たに考え出したものです。
コロナ禍で一箇所に集まって何かをすることがまだ難しい中、IP(キャラクターなどの知的財産)に強いバンダイナムコとして、デジタルの仮想空間で大きな「前夜祭」を仕掛けたかった狙いがあります。
――コロナ禍だからこそできるエンタメを仕掛けたい思いがあったわけですね。
コロナ禍の2年間、当社では配信する機会も増え、「MIRAIKEN studio」といった施設設備も作ってきました。それからさらにデジタル・Webの領域で各種配信のプラットフォームを立ち上げたり、3Dのバーチャル空間を作ったりという事業にもチャレンジしてきたんです。
そうこうしているうちにコロナ禍が始まってから2年がたちました。これまでオンラインで仕掛けてきたさまざまな取り組みを集約させ、フェスというオフラインだけでなく、オンラインでも「バンナムフェス2nd」という一大イベントに向けた盛り上がりを社を挙げて作りたかった狙いがあります。
この期間をある種のお祭り騒ぎのような、楽しい期間という位置付けで楽しんでいただきたい意図がありましたね。
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