1ドル140円、1998年以来 実質購買力は50年以上前に逆戻り?

» 2022年09月02日 11時23分 公開
[ITmedia]

 9月1日の日本時間深夜、ついに1ドル140円台を突破した。140円台に乗るのは、1998年6月以来、24年ぶり。1日に発表された8月の米ISM製造業景況感指数が市場予想を上回ったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)の継続利上げ観測が強まったことが要因。日米金利差が開くことから、円が売られた。

直近1カ月のドル円為替の動き。1カ月で9円円安に振れた(TradingView)

 7月半ばに139円台まで進んだ円安だったが、その後反転し、8月2日には130円台まで円高方向に進んだ。しかし、8月に入ってからは再び円安が進み、1カ月で約9円下落した形だ。激しい値動きが続いているが、24年前の1998年も為替変動に翻弄された年だった。

1998年も為替に翻弄

 98年6月に1ドル140円を超えると、その後1週間ほどで146円まで暴落。その後8月のロシアデフォルトやLTCMショックを経て、10月には3日間で22円も一気に円高が進み、一時111円台に突入するという動きを見せた。結局10月末には114円台まで円高に進むという、激しい値動きだった。

140円を越えた1998年も、激しく為替が動いた年だった(TradingView)

 一気に進んだ円安だが、ネットでは、「金曜日は重要指標である米雇用統計の発表も控えているので、様子見」という声も上がっている。

実際の購買力は24年前ではなく50年以上前に

 また、「米国の物価は24年前と比べてインフレで2倍くらいになっているので、円の価値の下落は激しい」という声も。為替レートに通貨の購買力変化を反映させた「実質実効為替レート(REER)」を見ると、1ドル360円の固定レートだった1970年を超えるレベルの円安だ。

1ドル130円だった5月時点で、実質実効為替レートは50年前の1970年相当まで落ち込んでいた(経済産業研究所より

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