トラブル続きの契約社員に退職を提案 「強要だ!」と裁判に発展、どうすればよかった?退職勧奨を進める上で気を付ける点は(1/4 ページ)

» 2022年09月12日 08時00分 公開

 会社と労働者の雇用契約の終了には、定年退職、自己都合退職、解雇などさまざまな形があり、その中の1つに「退職勧奨」があります。あまり聞き慣れない言葉ですが、退職勧奨とは会社から従業員に「このまま会社にいてもチャンスがないし転職を考えたら?」と退職を促すことを指します。

 従業員としてはショックを受けますが、問答無用の解雇に比べると平和的なアプローチと言えますので、会社としては上手く活用すべき手法です。ただし、退職勧奨もその進め方次第では違法になるリスクがあるので注意が必要です。裁判にまで発展したケースを見てみましょう。

東京高等裁判所判決 平成24年11月29日

  • 会社は定期航空運送事業などを営み、Xさんを客室乗務員として雇用した
  • 雇用時の条件は、1年単位の有期労働契約を更新し、3年経過後、本人の希望・適性・勤務実績を踏まえて正社員への切り替えを行うスケジュールであった
  • 会社はXさんを1年以上雇用したものの、正社員登用に求める基準に満たないと判断。2年目の有期労働契約の終了を待たずに退職勧奨を行うこととした
  • 退職勧奨は上司との面談の形で4回以上行われ、Xさんは一時受け入れる姿勢を見せた
  • しかしXさんは態度を変え、「夢を実現したいという思いにはいささかの迷いもございません。自分から諦めてしまう事だけは一生後悔しますし、私は仕事を続けられる限りどんな努力もしていきます。常に危機感を持ち、意識を高く持ち続けようと決意を新たに致しました」という文章を提出するなどをして退職勧奨を明確に拒否した
  • 以降、面談を実施するも、Xさんの態度が反抗的になったため会社は退職勧奨を諦め、有期労働契約の満了の時期を待ち、更新せずに雇用関係を終了させた
  • これを不服としたXさんは、雇い止めの無効と退職勧奨が不法行為などにあたるとして慰謝料500万円を求めて提訴した

判決は?

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