このような大規模な改修は前例がなく、困難な作業です。脱炭素化の目標を達成するためには、建物のあらゆる要素を考慮する必要があります。それは、クリーンエネルギーのインフラを導入し、建物のエネルギー効率性を高めるという当たり前のステップから始まり、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を実現するエンボディード・カーボン(建築資材などの調達から建物の解体までの過程で排出される二酸化炭素)の最小化、グリーンリースを活用したサステナブルな建物利用を促進するための入居者や将来の所有者への教育にまで及びます。サステナブルな建物を建ててもサステナブルでない使われ方をしては意味がないため、最初に適切な入居者を選ぶことも大切です。
必要な変革は多岐にわたります。サステナブルな社会を実現するため不動産は雨水貯留によって水資源を賢く利用し、保護しなければなりません。建物に廃棄物の分別施設も設置するべきです。また、所有者や入居者は建物だけでなく、すべての資材や請負業者のサプライチェーンも見直す必要があります。
実際にインパクトがあること、変化をもたらすのに十分なスケールとスピードで行われていることなどを確認するためにこれらの変革を追跡し、分析しなければなりません。すべての建物は、(1)最も高位のグリーン基準、(2)建築物の環境評価システムであるBREEAMのExcellent格付け、(3)EUタクソノミー規制への準拠、(4)省エネ性能評価制度であるEPCのAランク、を満たす必要があるでしょう。基準がたくさんあり混乱してしまうかもしれません。しかし、それらをまとめると、不動産ポートフォリオを効率的に評価できる共通のレンズを作ることができます。
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