トヨタの新型「クラウン」が発売になりました。第16世代となる新型「クラウン」の最大のトピックは、セダンだけでなく、クロスオーバーやSUVといった複数の車形を採用したことになります。
トヨタは「カローラ」でも同じように、セダンだけでなく、ハッチバック版(カローラスポーツ)、ステーションワゴン版(カローラツーリング)、SUV(カローラクロス)と複数の車形バリエーションを販売する方式を採用しています。それと同じことを「クラウン」でも行おうというわけです。
複数の車形バリエーションを持つ新型クラウン(撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)
では、なぜ、セダンだけでなく、他の車形を作るのでしょうか。その理由は「セダンが売れない」。これに尽きるでしょう。
2022年1〜6月の登録車の新車販売ランキングを見れば一目瞭然です。
2022年1〜6月の登録車の新車販売ランキング
10位までの間で、セダンを含むのが「カローラ」のみ。純粋なセダンだけのモデルとなれば、16位のトヨタ「プリウス」(これもハッチバックと呼べそうな格好ですが、トヨタはセダンと主張しています)が最上位で、次が32位の「クラウン」です。50位までには、その2モデルしか入っていません。ちなみに、「カローラ」のようにセダンを含むモデルは、28位の「インプレッサ」、36位の「マツダ3」の2モデルです。
つまり、50位までにセダンを含むモデルは「カローラ」「プリウス」「インプレッサ」「クラウン」「マツダ3」の5モデルのみ。50台中の5台しかありません。これではトヨタが「クラウン」をセダンのみではなく、SUVなどの他車形を用意したくなる気持ちもよく分かります。
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