”よそ者”と聞くとネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれないが、下田ではよそ者が非常にいい仕事をする。古参よそ者が地域住民と新参よそ者をつなぐ役割を担っている。コミュニティマネージャーの松橋さんももともとはよそ者だ。首都圏の大学生だったが、LAC伊豆下田でフリーランス合宿に参加したことからLAC会員となり、22年4月にコミュニティマネージャーに就任した。
LACの広報を担当しているELENTO合同会社の代表取締役 塚田エレナさんも東京出身の元よそ者。外資系広告・PR代理店を経て、静岡県三島市を拠点としながら多拠点生活を送っている。伊豆下田にも毎月1週間ほど滞在しているという。
記事の前半で紹介した起業準備を進めている男性も、津留崎さんも東京出身。なんならLAC会員にも東京出身者が多く在籍する。移住者増を考えると、下田の外から人が集まって、地元の町とは少し異なる自分たちが過ごしやすい町を作っていくような、地元住民とは深く交わらないような町に変わっていってしまうのではないかという疑問も残る。
しかし、LACと地域住民の交流を見ていると、そんな懸念はすぐに吹き飛ぶ。よそ者が最初から地元住民に愛されるなじみ方をしているので、後から来るよそ者もなじみやすいのだ。「友達の友達はいいやつ理論」が発動している。
観光で訪れて「いい町だから」という理由で移住するパターンも少なくないだろう。しかし、なんの後ろ盾もない移住は地元住民との関係構築などに時間を要する。なじめなかったときも大変だろう。
下田ではそのような心配は限りなく小さいように思える。よそ者がよそ者を連れてきて町がにぎわう。そういう好循環が生まれている。下田に人が集まるのは偶然ではなく、必然なのかもしれない。
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