――ビジネス上で嫌われたり敬遠されたりするNG言動があれば教えてください
後田: 大きく3つ挙げてみたいと思います。1つは、何か頼まれたことに対して「すぐにやります」という言い方。
自分の「すぐ」と相手の「すぐ」は時間の感覚が異なります。例えば、上司や経営者がいう「すぐ」は2〜3秒後のこと。一方で、社員の「すぐ」は今週中や、明日の朝一を指しているかもしれません。かなり時間感覚が異なります。
「すぐ」「あとで」などといった言葉には主観が混ざります。ビジネス上で失敗が目立つ人は、こうしたあいまいな言葉遣いが多い印象があります。「すぐにやります」ではなく「金曜日までにやります」といった具体的な言い方をするのがよいでしょう。
――確かに時間間隔のずれはイライラやトラブルを招きそうですね。NG言動の2つ目は何でしょうか
後田: 2つ目は「専門用語」を使って話すことです。自分が知っているから相手も知っているだろう、という思い込みは危険です。なるべく優しい言葉で話すことが大切です。
専門用語を分かりやすく言い換えて話す人に接すると「この人は頭がいいな」と感じます。名経営者と呼ばれるような人たちも、あまり難しい言葉は使いません。
8月に90歳で亡くなった京セラ名誉会長の稲盛和夫さんや、松下電器産業(現パナソニックホールディングス)創業者の松下幸之助さんなどの本を読むと、難しいことは言っていません。中学3年生でも分かるレベルの言葉を使っています。
――「誰でも分かる話し方」を心掛けることが大切なのですね。3つ目のNG言動は何でしょうか
後田: 3つ目は、金曜日の夕方遅くに何かをお願いすることです。「金曜日の夕方に言われてももう週末だし……」と誰もが思いますよね。金曜日の帰り間際に「ちょっといいですか」と言われて、重いお願いなんかをされると、土日もそれが頭をよぎる。「月曜日以降で構いませんので」と言われても、「それなら月曜日の朝に言ってよ」と思うわけです。
同じお願いでも、お願いするタイミング次第で受け手の心情は180度異なります。
ほかにも、例えば同僚や後輩から「ちょっといいですか」と相談されるとき、明らかに企画書などを作成している最中に声を掛けられるよりは、少しお茶を飲んで休憩しているときに相談される方が印象はいいですよね。相手の立場に立って、少し考えれば分かることは多くあります。
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