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前例のない「赤字上場」をどう評価させた? マネーフォワード金坂CFOに聞く舞台裏対談企画「CFOの意思」(1/2 ページ)

» 2022年09月27日 10時00分 公開

連載:対談企画「CFOの意思」

 ベンチャーの成長のカギを握る存在、CFO(最高財務責任者)。この連載では、上場後のスタートアップの資金調達や成長支援を行うグロース・キャピタルの嶺井政人CEOが、現在活躍するCFOと対談。キャリアの壁の乗り越え方や、CFOに求められることを探る。

 「CFOの意思」第5回の対談相手は、マネーフォワードで取締役執行役員CFOを務める金坂直哉氏。外資からスタートアップへという、当時は珍しかったキャリアを選んだ理由とは。数億円規模の赤字を抱えながらの上場を、どのように成し遂げたのか。

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当時は珍しかった、外資からスタートアップへの転職

 金坂氏は2007年、新卒でゴールドマン・サックスへ入社。最初に配属されたのは企業再生や企業改革を実施するプライベートエクイティの部門だったが、09年にはM&Aや資金調達のアドバイザリーを手掛ける投資銀行部門に移る。

 その後12年夏から1年間、米サンフランシスコのオフィスに駐在し、米国企業/日本企業の経営統合関連のプロジェクトに関わった。当時はiPhoneが普及し始め、Uberやリフト、サイドカー、Airbnbといったシェアリングエコノミーのサービスが爆発的に増えているタイミングだった。スタートアップを身近に感じる中で、自身のキャリアの選択肢として考えられるようになったという。

 帰国後、友人が働いていたマネーフォワードのオフィスに遊びに行ったことがきっかけで、14年9月に転職。創業メンバー含む社員と話す中で、チームの面白さや今後の事業の伸びに可能性を感じてのことだった。

嶺井氏: 14年当時、外資系企業からスタートアップへ移る人はとても珍しかったと思います。何が決め手だったのでしょうか。

金坂氏: 金融×ITの領域に関心があったこと、金融分野はテクノロジーによって良くしていける余地が大きいと考えていたことが大きかったですね。

 もっとも、「いつかはスタートアップのような面白そうなものにチャレンジしたい」という思いがあっても転職に向けて動いていなかった中で、マネーフォワードで働く人たちを知って、チャレンジするタイミングだと思った、ということもあります。

嶺井氏: 入社後、15年の1月に経営企画本部長、15年の6月に執行役員CFO、17年2月に取締役CFOと、ステップアップしていかれました。外資系からスタートアップへ移るということは、それだけで年収が下がる選択なのに、入社時の条件がCFOというポジションではなかった ということに戸惑いや不安はありませんでしたか。

金坂氏: そもそも当時、スタートアップへジョインする人もいなかったので、深く考えていませんでしたね。CFO候補の財務部長として入ってほしいと言われたので、「全然問題ないです」という感じで返答しました。

CFOを確約されていない転職でも、背中を押せる?

嶺井氏: 最近では、外資系の投資銀行からスタートアップのCFOとして、あるいはCFO候補として移る人も増えています。金坂さんが「CFOのポジションが約束されていない状態で、転職すべきか迷っており、どうしたらいいでしょうか」と相談を受けたとしたら、どうアドバイスをされますか?

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