自己都合の退職でも、失業手当の支給日数が増える どんな条件?Q&A 社労士に聞く、現場のギモン(2/2 ページ)

» 2022年10月20日 05時30分 公開
[卯城恒生ITmedia]
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 世間的には失業保険などと呼ばれるため、失業状態にある人を対象に給付が行われるように思われがちですが、基本手当(失業保険)は再就職を目指す人を対象に支援する制度ですので、退職を機に家事に専念したり、自営業を始めたりする場合には原則として支給対象になりません。

 また、細かい条件は割愛しますが、受給資格は雇用保険に加入していた期間により決まりますので、被保険者として加入していた期間が短いと、給付が受けられない場合もあります。

 基本手当(失業保険)の給付に必要な加入期間を満たしていた場合には、被保険者期間の長さにより給付を受けられる日数が異なります。また、解雇や倒産など会社側の都合で離職した場合には「特定受給資格者」となり、自身の都合で離職した場合に比べて支給日数が多くなるほか、被保険者の年齢によっても受給可能な日数が異なります。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 同じく、給付が手厚くなる「特定理由離職者」というものがありますが、これには一定の理由による自己都合退職者が含まれており、その中に「結婚に伴う住所の変更」という項目があります。ハローワークが公開している特定理由離職者の範囲と判断基準によれば、往復の通勤時間がおおむね4時間を超える場所に転居した場合には、特定理由離職者として判断されることになっていますので、離職票の離職理由にはその旨記載をして手続をすることをおすすめします。

 ただし、給付日数を多くしようとして本来の離職理由とは異なる内容で手続を行ってしまうと、雇用保険の不正受給として罰則が科せられますので、絶対に避けましょう。

社労士の回答まとめ

 倒産や解雇など、会社都合の離職の際には基本手当(失業保険)の給付が手厚くなりますが、自己都合の場合であっても一定の条件に合致した場合には「特定理由離職者」として、基本手当(失業保険)の支給日数が増えることがあります。

著者:卯城恒生(うじょう・こうき) 社会保険労務士

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1974年神奈川県横浜市生まれ。2007年に社会保険労務士試験合格後、2009年に卯城社会保険労務士事務所を設立。

労働関係法規に関する助言を行い、適切な労務環境の整備を図りながら、中小企業の発展を支援することを得意としている。


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