「現在は食品に限らず趣味・嗜好(しこう)の多様化が進み、ニッチなものやことにもフォーカスが当たるようになりました。食品メーカーとして趣味・嗜好の多様化に対応することを考えたとき、注目したのが激辛でした」
食品事業本部食品事業四部 チームマネージャーの楠本明日香さんは、「しあわせの激辛」シリーズ開発の背景をこう明かす。定期的にブームが訪れ話題性が高く、永続的にブームが起こると判断されたことから、激辛に着目した。
企画したのは19年末。企画の段階から、辛メーターの協力を得ることにした。
辛メーターは、店や企業ごとに表現が異なっていた辛さの表し方を独自の「KM(辛メーター)」という単位で統一し、スマホアプリとポータルサイトで辛い食べ物の辛さについて発信するなどしている企業。辛メーターで人選して、辛メーターにリクルートしてもらった激辛ファンの人たちから、激辛メニューに対する不満や要望を聞くことにした。
激辛ファンは市場に流通する「激辛」をうたった商品に対し、味覚面で不満を持っていた。代表的な不満は「激辛とうたっているのに激辛ではない」。また、辛さだけではなく、うまさも求めていることが分かった。
こうした激辛ファンの声から、同社はおいしさと強烈な辛さを持った商品に商機を見出す。ハウス食品の歴史上、初めて激辛をシリーズ展開することにした。
最初につくることにしたのは、チキンカレー、麻婆豆腐、辛ボナーラ、ラーメンの4つ。この中で異色なのが辛ボナーラである。
当初は辛ボナーラではなくエスニック系の料理が検討されていた。しかし、エスニック料理は女性の人気は高いものの、男性にはそれほどでもないことから、辛ボナーラとなった。
辛ボナーラは、激辛ファンが時にはホワイトソースにタバスコをたっぷりかけて食べることをヒントに発案した。
「その話を聞いたとき、『えーっ』となりましたが、激辛ファンには当たり前のようでした。激辛ファンはホワイトソースを使った料理にはもれなく、タバスコを掛けるといいます。ホワイトソースを使った代表的な料理であるカルボナーラにタバスコをたっぷり使ったらどうか、と提案したところ、激辛ファンは興味を示したので開発することにしました。社内だけで議論していたら、なかなか出てこないアイデアだと思います」
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