辛さと旨さの両立は簡単にはいかなかった。辛さと旨さは相反する要素なのでバランスを取るのが難しい。メニューごとに辛さに負けない旨味をつくった上で辛くするようにした。
特に難航したのがラーメン。他の3つよりもはるかに多く、試作は150回にも及んだ。
何度も繰り返した理由の一つに、唐辛子の中でも辛いハバネロを使わなかったことが挙げられる。ハバネロの独特の香りが今回目指したラーメンとの相性があまりよくなかったことから、他の種類を使用。唐辛子の量を0.1グラム単位で変えたほか、加熱や粉砕の仕方を工夫するなどした。
しかし、試作を食べた激辛ファンの評価は厳しく、初めて試食してもらったときの評価は「おいしさが普通」「辛さが普通」と散々。「にんにくなどを効かせて、ガツンとした味わいにしないと満足できない」といった意見を元に試行錯誤した結果、試作が150回に及んだ。
また「しあわせの激辛」シリーズの辛さは、ハウス食品独自の辛味順位表記ではなくKM値で辛さを表記することにした。その理由を楠本さんはこのように明かす。
「激辛ファンは食品メーカーが発信する辛さ順位を信じていないところがあります。メーカーが発信している基準では計り知れないレベルを求めているとなったときに使える基準が、辛メーターが独自につくったKM表記でした」
それぞれのKM値はチキンカレーが3.25KM、麻婆豆腐が2.93KM、辛ボナーラが1.88KM、ラーメンが2.74KM。ちなみに、湖池屋の「スティックカラムーチョ」が0.85KM、CoCo壱番屋の「ポークカレー2辛(一般的な辛さ[1辛]の2倍)」が1.76KM。KM値は3.00を超えるとかなり辛いと感じられ、人類の限界は5KMとされている。
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