“九州の覇者”コスモス薬品に、ウエルシアが真っ向勝負 ドラッグストア戦争の行方は?小売・流通アナリストの視点(4/4 ページ)

» 2022年10月24日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]
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トップの関東勢力vs新進気鋭の地方勢力 行方は?

 主に九州、北陸で発祥した生活必需品ワンストップ&ショートタイム型のチェーンは今や関東や東北にも出店し始めている。

 22年4〜8月の大規模小売店舗立地法の小売店新設届け出は69件あるが、そのうち22件はコスモス(福岡県)、クスリのアオキ(石川県)、ダイレックス(佐賀県)の3社で占めている。もう何年かすると、関東、東北にもこうした業態の店を普通に見かけるようになるだろう。

 これらの店は、大型店のように一気に売り上げを奪う訳ではないので、知らないうちに店舗数が増えて、周囲を囲まれていた、という状況に追い込まれるらしい。出店すれば、一定割合のシェアを取っていくようで、対症療法はないため、地域シェアの低い店から順に追い込まれていく。

 こうした新手の店舗が増えると、関東、東北のドラッグ、スーパーの競争環境はこれまで以上に厳しくなることは避けがたく、地域シェア上位店を目指して、切磋琢磨していくしかない。

 巣ごもり需要の反動落ちに入ったドラッグ、スーパー業界の各社にとって、新たな難敵の出現はかなり悩ましいことだろう。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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