一つ予想されるのが「マーケット型」の賃金決定です。これは、「競合他社ではこの仕事にどのくらいの賃金を払っているか」ということを基準に賃金を決めることです。「マーケティング課長」「人事課長」「財務課長」などの職種ごとに、各種の賃金調査を参考に賃金を決めます。相場の変動によって、自社の賃金が競合より低くなったようなときには、機動的に賃金を引き上げます。日本以外の先進国では一般的に行われている賃金決定様式です。
これが日本ならば、「同じ課長なのに部門によって賃金が違うのはおかしい」ということになるでしょう。このように、部門にかかわらず職位で賃金を決め、競合他社がいくら払っているかはあまり気にせず、自社の財政状況と個人の評価を重視して賃金を決めることを「組織型」の賃金決定といいます。
マーケット型の賃金では、勤続年数が短いことによる不利益を受けないので、転職が盛んになります。他社より低い賃金しか払っていない企業は、人手不足により市場から退出を迫られます。日本以外の国々では、このため賃金が上がっています。
日本では、特に中小企業では、経営者も人事部長も、同業他社がどれくらいの賃金を払っているのかについてほとんど無関心です。今後は賃金に関する情報収集力が、企業にとって重要な成功要因になると考えられます。
「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
社員に昇進を打診したら、本人が拒否──懲戒処分にできるのか?
「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
幹部候補か、“万年ヒラ”か キャリアの分かれ目「30代以降の配置」を、人事はどう決めている?
「優秀でも残念でもない、普通社員」の異動に、人事が関心を持たない──何が起きるのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング