では、どのような経営姿勢がスシローを動かしているのでしょうか。かっぱ寿司の件でも触れた価格競争過多に起因する業界的なモラル欠如も一因ではありそうですが、他社が同じようなことをしているわけではありません。これをひも解くカギはスシローの創業から現在に至る経営の変遷と、そこに根付いた経営姿勢の同業他社との相違点などを検証することで見えてきます。
スシローは1980年代に清水義雄、豊の兄弟が、それぞれ大阪で回転寿司チェーンを始め、99年に経営統合してあきんどスシローを設立しています。その後、全国展開をしたものの、兄弟間で経営を巡って紛争が起こり、ここから経営権を巡る小刻みな変遷とファンドの登場という想定外の流れに入っていくのです。
弟の豊氏が同業のゼンショーに持ち株を売却し経営から身を引くと、2008年に兄の義雄氏は外資ファンドのユニゾンキャピタルに「ホワイトナイト」(友好的な買収者)としての支援を求めユニゾン系のファンドによるTOBでゼンショーを排除。これを機に義雄は経営からも手を引いて、経営権は完全に創業家の手を離れることになります。
ユニゾンは12年に英国系ファンドのペルミラに持ち株を売却し、キャピタルゲインを得て撤退。経営権を譲り受けたペルミラは、17年に元気寿司をグループに持つ精米卸販売の神明ホールディングス(以下神明)に「スシロー=元気」の業務提携を前提として株式を段階的に売却することで、持ち株の売り抜きに成功します。
しかし、19年に双方の基本事業戦略の相違によって元気寿司との業務提携計画が白紙撤回されることとなり、筆頭株主となっていた神明はスシローの持ち株をすべて手放すに至りました。
スシローにおけるユニゾンやペルミラの動きをみてお分かりのように、ファンドは企業が困った時に救世主的に株主として登場するものの、彼らの最終目的はあくまで投資に対するキャピタルゲインであり、目的さえ果たせばさっさと去っていくのが常です。
従って、仮に「アクティビスト」と呼ばれる、いわゆる「物言う株主」でなくとも、事業収益が上がらず株価が低迷するような状況になれば、経営方針に注文を付けたり、経営陣の交代を求めたりという物言う存在であるのは常であり、経営にとっては何かと厄介な存在でもあるのです。
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