スシローの現経営トップ(スシローを傘下に持つ東証プライム上場のFOOD&LIFE COMPANIES)は、15年にペルミラが連れてきたプロ経営者の水留浩一氏です。水留氏はコンサルティング会社を経て経営破綻後の日本航空で副社長として活躍し、アパレル大手のワールドの専務を経てスシローのトップに就いています。
いわばファンドの扱いもその怖さもよく分かった立場であり、短期収益獲得による株価の維持・上昇を主眼とした店舗網積極拡大による売上増強至上主義を旨として、売上業界一位の座を死守してきたといえます。
元気寿司との業務提携計画の白紙化の原因も、実はこのファンドへの目配せを怠らない水溜社長の事業方針にこそあったわけなのです。筆者はこの提携解消直後に、元気寿司の前社長である法師人尚史社長から同社の業務方針について直接うかがう機会があったのですが、その基本はスシローのような目先の数字づくりを重視する姿勢ではなく、コスパ重視の商品・サービス開発を旨とするというものでした。
回転レーンの廃止をいち早く手掛けて常に握りたて提供サービスを重視したり、提供時のシャリの最適温度までも考えた寿司提供のオペレーションを検討したりするなど、片や雇われプロ経営者、片や職人からの叩き上げ経営者である思想の違いが大きく感じられました。
元気寿司はこの提携以前に、かっぱ寿司とも提携→解消を経験しています。職人文化の元気寿司と、頻繁な資本移動を繰り返してきた業績至上主義のかっぱ、スシローとの業務提携の白紙化は、至極当然と納得させられる次第です。
スシローは結局この事業提携計画がとん挫したことで、30%を超えていた神明の持株分は再び複数のファンドの手にわたることになりました。現在もスシローは最上位株主を複数の海外ファンドが占め、経営は食の専門家ではないプロ経営者水溜氏が引き続き指揮を執っています。
すなわちファンドへの目配せを重視するプロ経営者の経営姿勢は依然として続いており、この点は外食専門企業や寿司職人上がりの創業家が経営権を握っている他の大手回転寿司各社とは、決定的に違っているのです。
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