さて、日本企業の厳しい現実を踏まえて、そういうところで何年か働き続けた若手・中堅はどんな心境になるだろうか。「おいおい、この会社、オレが入社した10年前と同じことやっているよ、完全に時代に取り残されてない?」「なんかウチの会社、やばくない?」なんて、この会社にいていいのかと不安になって転職を考えるのではないか。
それがうかがえるデータもある。
19年、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所が、入社4年目以降の若手・中堅社員515人(25〜32歳)を対象に実施した「転職意向と実態調査」を公表した。その中で、仕事や会社への満足感や貢献感が低い社員たちが転職を決意した理由で最も多かったのは、「会社の将来に不安を感じた」(41.3%)である。
次いで、「会社の経営方針や方向性に疑問を感じた」(39.5%)、「担当している業務に意義を感じられなかった」(35.5%)となっている。会社に不満を抱えている中堅や若手なのだから、「あんなクソ上司の下で働けるか」という対人関係や、「安月給でコキつかいやがって」という待遇の不満から、退職届を叩きつけているようなイメージがあるが、意外と「会社の経営や将来性」を冷静な目で眺めて、「このままココにいても泥舟だな」「ココにいても成長できない」といった理由で去っている人が多いことが分かる。
某転職サイトのテレビCMで、若手社員が一生懸命何か新しい提案をしているが、上司らしき人物が笑いながら「無理、無理、ウチの会社じゃ」と言って取り合わず、若手社員が転職を検討するようになるという描写があるが、まさしくこんな感じで、「ココにいてももう伸びしろないわ」と失望して組織を去っていく若手・中堅が多いのだ。
そう考えると最近のジャニーズの「退所ラッシュ」に重ならないか。これまでジャニーズを飛び出した若手・中堅の多くが「海外進出」や「アーティスト活動」などを求めている。例えば、山下智久さんは海外ドラマなどに挑戦しているし、14年に退所した赤西仁(KAT-TUNの元メンバー)さんは、中国でドラマに多く出演して人気となっており、ファンクラブも盛況だという。
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