「ジャニーズ騒動」から学ぶ、中堅・若手が逃げる組織の問題スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2022年11月08日 10時50分 公開
[窪田順生ITmedia]
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同族経営の弊害

 もちろん、先ほども述べたように「帝国」の基盤は安泰なので、この先、中堅や若手が大量に辞めたところで痛くも痒(かゆ)くもない。木村さんのようなテレビや映画の不動のスターがいる中で、新しいスターをどんどん育成していけばいい。

 テレビという既得権益を握っているジャニーズ事務所は、テレビという産業が衰退しない限りは、現状維持でも十分食っていける。しかし、それはあくまで「同族経営が継続できる」ということであって、その末端で働いているアイドル、タレントの皆さんがハッピーなのかというとまったく別の話だ。

 繰り返しになるが、日本企業の9割を占める同族経営のすべてが悪ではない。しかし、そこで巨大な既得権益を握ってしまった場合、同族経営は「家を守る」という思いが強くなって、現状維持に流れてしまう。それが日本が停滞している原因の一つだ。

 「ウチの会社はいつまでたっても何も変えられない」とお嘆きの人は、ぜひ自分の会社がこのように「世襲のワナ」に陥っていないのか確認していただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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