ルイ・ヴィトンやエルメス、カルティエなど有名なハイブランドを多く輩出するフランスは、2022年1月に「売れ残った衣料品の廃棄を禁止」する法律を施行しました。売れ残りは寄付やリサイクルが義務付けられ、違反した場合には最大1万5000ユーロの罰金が課されます。
これは、アパレル業界の常態化する在庫過多を解消するための取り組みと推測できます。もちろん、日本も例外ではありません。当社、フルカイテンが運営する在庫分析クラウドシステム「FULL KAITEN」のデータを分析したところ、アパレル業界で在庫過多が解消されない理由が明らかになりました(168ブランドを対象に調査)。
その理由とは「売れる商品が分かっていない」ということです。データによると、各企業が抱えている全商品のたった20%の商品が利益の8割を生み出していることが分かりました。
利益を生み出していない残り80%の在庫をそもそも仕入れる意味があるのでしょうか? 日本のアパレル業界の現状を振り返りながら、「不良在庫を売れる商品にする方法」を解説していきます。
「利益を生み出さない80%の不良在庫」について論じる前に、日本のアパレル業界の実態を紹介します。経済産業省によると、アパレルを中心とする衣料品などの19年の市場規模は11兆円でした。1991年(15.3兆円)と比較すると約30年間で4.3兆円縮小しています。これは、市場規模が約3分の2に縮小しているということを指します。
一方、繊維産業の国内供給点数は90年が20億点だったのに対し、2019年には約40億点と2倍に増えています(20年はコロナ禍の影響で35.7億点へ減少)。縮小する市場規模と増加する供給量が、供給過多による大量の売れ残りが発生している実態を示唆しています。
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