「アウトドア用の冷凍めし」が登場 開発したら“相性のよさ”が分かってきた3分インタビュー(2/3 ページ)

» 2022年11月12日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

レトルトではなく冷凍で勝負

――「アウトドア用の食品をつくろう!」となれば、当然レトルトは選択肢に入ってきますよね。なぜ、開発に手をつけなかったのでしょうか?

8種類のメニューを用意

片岡: 「レトルト臭」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 弊社でもレトルトの商品を扱っていまして、常温でも長期間保存できるように「加圧加熱殺菌」をしているんですよね。加圧加熱するときに食材の風味が飛んでしまって、どうしても独特の香りがするんです。ということもあって、アウトドア用にはレトルトの開発をあきらめました。

 話がちょっとそれますが、スーパーなどに足を運ぶと、おいしい食品がたくさん並んでいますよね。しかも「安くて、うまい」が定着している。そうした状況の中で、同じようなことをやっても、たくさんの商品の中に埋もれてしまうかもしれません。例えば、大手企業は10人が食べて、9人が「おいしい」と感じるものをつくっているとします。しかし、私たちは10人のうち1人でもいいので「また、食べたい」というファンを増やしていくことが大切なのではないか。そのような方針で、商品を開発しているんですよね。

 こうした背景があるので、アウトドア向けにレトルトを開発しても、すでに他社からたくさんの商品が発売されている。となると、後発で商品を出しても埋もれてしまうかもしれません。そうなってはいけないのでレトルトで勝負するのではなく、アウトドアの世界でこれまでほとんどなかった冷凍食品を開発することにしました。

台湾ラーメン

――その戦略は理解できましたが、冷凍食品にも課題があるのではないでしょうか。「冷凍食品=おいしくない」というイメージをもっている人が多いような。

片岡: おいしく感じるかどうかは個人の感覚によって違ってくるので、なんともいえません。ただ、冷凍食品の場合、できたての料理を急速冷凍して、それを閉じ込めてしまう。レトルトとは製造工程が違うので、味も違ってくるんですよね。ドイさんも味わってくださいよ。

――もぐもぐもぐもぐ。ここで「おいしい」といった感想を述べると、宣伝になってしまうのでやめておきますね。冷凍食品の市場は伸びていて、大手ファミレスが扱っていたり、大手スーパーが専門店を出店したり。価格を見ると、レストランと同じくらいのものもあって、なかなか手が出ないかもしれませんが、実際に食べてみると「これは家ではつくれない味」と感じることがありますよね。

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