長引くコロナ禍に加え、国際情勢の変化による経済状況の懸念がありながらも、採用市場はおおむね好調の状態が続いています。
厚生労働省によれば、2022年8月の全国有効求人倍率は1.32倍。地域差や職種・業界差はありますが、求人倍率はおおむね上昇傾向にあることが分かります。
変化の多い時代を乗り切ろうと、近年は企業が既存のメイン事業だけではなく、DXなどを通じて新たな事業に取り組む流れも見られます。そんな中、DX人材など「これまで自社では採ってこなかった職種やタイプの人」を採用したくても、「当社には合わない」「判断基準がない」として見送りになってしまうケースもあるようです。
結果的に、ポテンシャルがある人材を取りこぼしてしまうのは非常に残念なことです。こうしたロスをできる限りなくす方法を解説していきます。
主な要因に(1)社内のコミュニケーション不足(2)それに伴う採用ペルソナの設計不足があります。一般的に、優秀な人材はどこの会社でも求められるため、ハードルが高いです。また、自社の理想を全て持ち合わせている人材はなかなかいません。どのようなバランスで採用するかを検討するのが、採用担当者および採用に関わる人がまず取り組むべきことです。
よく見かけるのが、経営陣または採用部門の責任者が「〇〇のような人材を採用したい」と「発注」し、採用担当者は各採用チャネルに投げかけるパターンです。この場合、双方で会話や議論があまり交わされていない状態で、抽象的なリクエストをそのまま採用チャネルに投げかけるため、正しい情報を理解しないまま選考フローが進んでしまいます。そのため、選考途中で「なんとなく合わない」ということになりかねません。
つまり一方向だけの視点で採用活動を促進する「発注」方式を取るのではなく、初期段階では関わる全員の目線を合わせるために議論の場を設けることが重要です。その際には欲しい人材の要件を挙げるだけではなく、求める人材が市場に多くいるのか議論することも大切です。また「欲しい人材」と「必要な人材」を切り分け、事業計画と照らし合わせながら、想定されるスケジュールでの採用で問題ないかをチェックしましょう。
社内でコミュニケーションを取るだけでは、理想の項目が増えて抽象的な表現が多くなり、真のターゲットを見失う場合があります。コミュニケーションの量だけではなく質を重要視し、採用ペルソナを設計しましょう。
例えば、「コミュニケーション能力が高い人材」というリクエストがあった場合、何を基準にコミュニケーション能力が高いのか、そして社内にロールモデルはいないかを考えます。
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