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「在宅勤務でなんとなく不調」な社員をどう変える? ウェルビーイング経営の始め方「総務」から会社を変える(3/3 ページ)

» 2022年11月22日 05時00分 公開
[豊田健一ITmedia]
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会社はどんなアプローチを取れるか?

 精神的な良好な状態を作り出すため、コロナ禍の弊害であるコミュニケーション量の低下を改善するのであれば、その解決策には上記と同じようにリアルな場に来てもらい、コミュニケーションがしやすい場で仕事をしてもらうというものも含まれるでしょう。社会的に良好な状態も同様です。コミュニケーションの量の確保により、関係性も深まり、社会的に良好な状態が実現できます。

 無理に出社しろというのではなく、来たくなるオフィスにおいて、コミュニケーションが促進される仕組みにより、精神的、社会的良好な状態を目指していく。総務のオフィス作りが結果として、Well-Beingの実現に結び付くのではないでしょうか。

カギは経営の意思の社内共有

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 ウェルビーイングの実現を望まない経営者はいないでしょう。企業にとって最も重要な経営資源である人材が定着、活躍すれば、それだけ経営目標に近づきますし、なにより、経営者自身もウェルビーイングな状態でなければ、優れた経営判断はできません。総務を中心に経営も巻き込んで全社一丸となり、ウェルビーイングの実現を目指すべきです。

 そこで必要となるのが、経営の意思の社内共有です。健康経営の際は「健康宣言」として、社内外に自社の従業員の健康が大事であると表明した企業が多くありました。同様に、社内外にウェルビーイング宣言をしてみてはどうでしょうか。「当社は全従業員のウェルビーイングの実現を目指すことを前提とした上で社会的な貢献をしていく」と表明するのです。

 当然、その実現のための施策については、経営者自身も実行し、宣言だけでなく行動も伴った姿を社内外に見せていく。それにより、総務や人事が企画した施策ではなく、会社として行うべく施策であるといメッセージを発信していくのです。

 コロナ禍によりダメージを受けたウェルビーイング。あらためて、来たくなるオフィス、そしてそこでされるリアルコミュニケーション、そこにフォーカスすることで、必然的にウェルビーイングが実現していくのではないでしょうか。

著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)

株式会社月刊総務 代表取締役社長、戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、戦略総務研究所 所長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。

著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)『マンガでやさしくわかる総務の仕事』『経営を強くする戦略総務』


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